
3月9日、今年もこの日がやって来た…。21年前の1997年3月9日・深夜、渋谷にある木造アパートの一室で、一人の女性が、何者かに首を絞められ殺され金品を奪われた。女性の名は渡邊泰子・享年39歳。
事件の一部始終を追ったノンフィクション「東電OL殺人事件」の続編にあたる単行本「東電OL症候群(シンドローム)」を読み続けている。数ページ読んでは考え、また数ページを読んでは考え、章を読み終えたごとに本を閉じ溜息を付く。やがてその足で酒場の暖簾をくぐり、呑みながら様々に感慨を巡らせては、いつしか思考の迷宮にはまり込み逡巡する。その繰り返しである。
確かに、ちょうど一年前、ああいう内容のことをこのブログに書きはした。だが、それは自分が「東電OL殺人事件」を読んだまだ直後に自分なりに己の経験から弾き出した答えである。あれはその時点における“真実”に過ぎない。そして真実とは“事実”と異なる。真実とは、その人それぞれの体験によって如何様にも変化するものなのだ。
事件は、事実が未だに明確にならず様々な謎を含みながらも、被疑者の無罪・釈放・帰国によって一応の終焉を迎えた感は確かにある。多くの人にとって、渡邊泰子さんは、忘却の彼方に霞み消えていったか記憶の引き出し奥底にしまい込まれそのまま置き去りにされた存在であろう。
僕は違う。気になるのだ、未だ気になって仕方がないのだ。時が経てば経つほど、経験を積めば積むほど、彼女の軌跡が自分の中で重くのしかかるのだ。そして、酒場で呑めばその声は何処からか聞こえてくる。「この毒が飲めるのか? この謎が解けるのか?」と…。深酒ゆえの単なる幻聴かもしれないが…。
2014年9月16日・火曜。サウナ帰りに地元みずほ台の「大」にて独酌。酒は、キリンの秋味(大瓶)・黒ホッピーセットを2本。つまみは、串焼きメニューからつくねとはつ・砂肝を2本ずつ塩・しろを2本タレ。その他冷奴・ほうれん草のおひたし・海老とゲソの漁師盛り。お通しは筑前煮。締めて4,120円なり。
今日のお題は“負の女神”にする。事件は終わっていない。まだ犯人は逮捕されていないのだ。しかし、おそらく、警察は犯人を知っている…。謎は深まり絡まり固まりどす黒い鉛の塊となって胸に圧しかかる。風化させてはならない。そのためにもこれからも何度でも、自分は彼女の名をこのブログに刻み続けるに違いない。
ラベル:大 みずほ台店