2015年09月11日

めしとも

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 いつでも目を通せるようにと卓上のすぐ手の届くところに置いておく本がある。

 MOOKで言えばそれは2004年刊の「男を上げる! 正しい酒の飲み方」(宝島社)であり、同じく2004年刊の「THE東京 夕暮スタイル」(交通新聞社)である。

 文庫ならば太田和彦氏の「超・居酒屋入門」(新潮文庫)やなぎら健壱氏の「東京路地裏暮景色」(ちくま文庫)・いいざわたつや氏の「カップ酒スタイル」(ちくま文庫)といったところの再読回数が多い。

 特別思い入れが深いのが、藤木TDC氏の「場末の酒場、ひとり飲み」(ちくま新書)である。常時携帯し様々な場所で何度も読み返したまさに座右の銘。藤木氏に関しては、10年前に入手したブラボー川上氏との共著「東京路地裏<懐>食紀行」(ちくま文庫)に収録された随筆『新宿・彦左小路 あらかじめ終わりが約束された飲み屋街』の衝撃が凄かった。酒(居酒屋・呑み屋街)を綴った文章でこれを超える余韻をもたらした一文にはまだ出会っていない。拙ブログのペンネームもそこから取ったものだ。

 同様に愛読し再読するのが、『東京溺愛居酒屋』と銘打った特集を巻頭に据えた月刊誌「めしとも」(角川マーケティング)の2010年12月号である。都内の名店を、1,000円・2,000円・3,000円の予算別に分け、それら予算内における高支持店を、2,000円店なら30軒、1,000円なら20軒、3,000円なら10軒といった具合で計70紹介していく。自分などは、70軒総ては無理にせよ、地元駅の東武東上線・みずほ台から片道1時間以内で訪問可能な呑み処は一度暖簾をくぐっておきたいとこれを読む度に痛感する。

 池袋駅西口近くに所在する「さかば ふくろ」は、その特集の1,000円台店において第3位に挙げられていた。ちなみに1位は木場の「河本」。2位は門前仲町の「魚三酒場」である。選考にあたったライターのぬかっち氏は「ふくろ」の魅力をこう語っている。

「不思議な店です。『河本』『魚三酒場』がいいというのはわかるじゃないですか。でも『ふくろ』って何もないですよね。そのすさまじいまでの普通さに隠された非凡さ。ここで13時ぐらいから酒を呑んで、気炎を上げている幸せそうなオヤジがうらやましい」。言いえて妙だと思う。

 2014年7月1日・火曜。その「ふくろ」で「ナイタイマガジン」元編集長のMクンと呑む。同店は3階建てビルをすべて酒場として使っている。1階・2階がカウンター。3階がテーブルと座敷という造りである。二人連れゆえこの日は3階の座敷に上がらせてもらった。

 「めしとも」でもふれていたが、同店はその豊富なメニューに定評がある。煮物・揚げ物・焼き物・炒め物・生物・飯物etc。煮こごりや焼たらこ・かぼちゃの天ぷら・タン炒めなどは他店ではまずお目にかかれない逸品であろう。また、それらのどれもが廉価で美味く外れがまったくないのだ。

 だから、「ふくろ」へそれも二人以上で来たときは必ず食べ過ぎてしまう。この晩も、もろきゅう・鶏の唐揚げ・赤魚塩焼き・かぼちゃの天ぷら・メンチカツの卵とじ・韓国海苔・レバーの塩焼きと大盤振る舞い。これに酒類を加えても勘定は一人あたま3,700円である。さすが「めしとも」認定の第3位店である。

 余談だが、紙媒体不況の余波を受け、2011年1月号をもって「めしとも」は休刊。自分が同誌の存在を知ったのはそこからだいぶ経ってのことだった。細部まで丁寧に創り込んだ誌面構成は今見ても素晴らしくつくづくその終焉が惜しまれてならない。

 ちなみに、Mクンには5,000円返済。彼への残債総額はこれで30,000円きっかしとなった。

 今日のお題は「めしとも」にする。
posted by 彦左小路郎 at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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