2017年03月07日

酒場漂流

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 文章を書くのは好きだが、文章を読むのも好きだ。

 このブログは居酒屋探訪に関しては実に3年のタイム ラグがある。もちろんその間に様々な本を読んだ。

 そのうちの一冊なぎら健壱氏の「東京酒場漂流記」(ちくま文庫)は、2015年の7月4日・土曜に、東武東上線・志木駅ビル内の旭屋書店で購入した。税込み777円なり。しかし、ほとんど読み終えようという頃、本をしまった鞄の中にペットボトルの水をこぼしてしまい、ページがふやけてしわしわになり続きが読めなくなってしまった。

 続きが読めたのは翌2016年の4月に入ってからだ。4月9日・土曜に東武東上線・朝霞台駅南口のブック オフで「東京酒場漂流記」の文庫初版を購入。410円なり。

 文庫初版の刊行は1995年8月24日。オリジナル単行本の発売日は1983年の11月21日だから、5年前の2011年の11月10日にやはり筑摩書房から刊行されたなぎら氏の「東京路地裏暮景色」(ちくま文庫)との間には実に28年もの開きがある。

 ゆえに、「東京酒場漂流記」には若書きの初々しさが漂う。なぎら氏は1952年(昭和27年)生まれだから単行本発売時に30歳。つまり、“酒材”に明け暮れていた頃はまだ20代だったことになる。自らを指す一人称も“ぼく”である。28年後の「東京路地裏暮景色」ではそれが“あたし”になっている。

 なぎら氏の本職は歌手である。文筆の専門家以外のそれも歌手が書いた酒場探訪記はこれが本邦初のものだろう。全25軒の酒場を紹介しており、その中には深川「山利喜」や立石「宇ち多”」・吉祥寺「いせや」のように今現在も健在な店もあれば、時代の趨勢に抗えず消えていった店もある。当然後者の店の方が圧倒的に多い。なんと言っても34年前なのだから。

 居酒屋ムックのような紹介本ではない。なぎら氏は、そこにおける友人や店主とのエピソードを綴っていくことでその店の独自性を浮き彫りにしてゆく。ゆえに、そのエピソードを読む側が面白く感じるか否かがその店の評価に繋がりもする。個人的には、友人との山谷行脚を描いた「野田屋本店」「大林」のくだりが特に味わい深く「野田屋本店」の名が強く印象に残った。

「野田屋本店」は、2006年に刊行されたいいざわたつや氏の名著「カップ酒スタイル」(ちくま文庫)にも出てくる。だが、それを読めば、当時は立ち呑み居酒屋でもあった「野田屋本店」がその機能を撤廃し小売店としてのみの営業を続けていることがわかる。 “それでもお客さんたちはお構いなしに店の前の路上に座り込み、あるいはどこから調達したのか醤油の一斗缶に腰掛けてカップ酒を手に気勢を上げている”(「カップ酒スタイル」293Pより)ことも。
 
 2014年7月26日・土曜。勤め帰りに、前回は友人と訪れた新富町の「もつよし」で独酌。酒は、瓶ビール・黒ホッピーセットの中いちおか(わり)・バイスサワー。つまみはレバ刺しにハツ刺し。串焼きメニューから小袋・タン・ピーマンを塩で2本ずつ。他にモツ煮込み・梅きゅう・焼きそばで4,233円なり。

 今日のお題は“酒場漂流”にする。いつも街を漂い、酒に溺れ、時に流され、やがては灰になる。所詮人生なんてそんなものだ。だから、他人様に迷惑をかけない範囲内で、やりたいことは徹頭徹尾やり抜き自分らしく生きなければ駄目なのだ。
 
posted by 彦左小路郎 at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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